あらゆる製品の、金属部のバリや鋭いエッジによる、消費者の指のけが防止の判定に使用します。
概要
従来はバリの危険度の判定を、人間の指で官能的に判定していましたが、これをより客観的に判定できるよう設計されています。
1973年にUnderwriters Laboratories(UL)は、Technical Engineering Service社( 以下、TES社とする )の評判を聞き、 あらゆる製品の「鋭利なエッジの安全性」を試験する試験器の開発を依頼しました。 TES社はシャープエッジテスターを開発し、その試験器を使用して試験を行う項目がUL規格に追加されました。
その後シャープエッジテスターは、何度も改良を重ねて現在の形になりました。
TES社で開発されたシャープエッジテスターは、UL1439規格に写真が掲載され、シャープエッジの安全性の客観的な判定基準に用いる標準器となり、数多く使用されております。
判定基準となるテープキットは、脱着が容易で試験を迅速かつ正確に行うことができます。
テスターは被試験部のバリやエッジに一定のテンションを加えるために板バネを内蔵し、指を想定したアームがそれに固定されています。 アームの稼動範囲を調整することで、誰でも容易に6.7 Nのテンションを被試験部に押し当てることができ、その状態を保ったままで 一定の距離を 一定の時間で一往復させることで規格を満たした試験を行うことができます。 アームの先端には、人差指の指紋面の柔らかさを模した試験用テープ( テープキット:以下、TC-3 とする )を取り付けます。 TC-3 は三層のテープを円柱状キャップの側面に貼り付けた人の指の皮膚と肉を模して造られたものです。 そのため、指の硬さの個人差を標準化することができます。
試験はシャープエッジテスターのアームの先端に取り付けたテープキットを、6.7Nのテンションを加えながら、2~5秒間で101.6mmの距離をバリやエッジに接触させます。 UL規格では、三層のテープの表側の二層が切れて三層目の黒色のテープが見えたら、そのバリやエッジは危険であり不合格と判定されます。 接触距離が片道 50.8mm 未満の場合は、1往復以上のトータルで101.6mm接触させます。
ただし、この判定基準は業界により一層目のテープが切れたら不合格にする場合や、テンションをより高くしてさらに厳しい条件で試験する場合もみられます。
仕様
国内での実際の使用例として、複写機のカスタマーエンジニアのけが防止のために
【 一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会( JBMIA )】の技術委員会が、ガイドラインに採用しています。
SET-50 シャープエッジテスターの調整
本製品は、あらかじめ校正されていますが、必要に応じて適宜調整してください。
調整用分銅には、T-6.7N(オプション)が便利です。
準備・調整手順は以下のとおりです。
- 水準器を用いて水平のとれた台を用意します。
- 本機のアクセスホールに付属の六角レンチ(1/16インチ)を挿入し、アームを調整できる程度に緩め(反時計回り)下図の向きにて固定します。
- 本機のテープキット(TC-3)のセンターガイドラインに始業点検用分銅を糸などを介して吊り下げます。
- 六角レンチは挿入したまま※、下図を参考にアーム位置をボディラインとアームラインが平行になるように調整します。
- 六角レンチを時計回りに締めてアームを固定します。
※ 引き出す際に、六角レンチを抜いた状態でアームを完全に抜いてしまうと内部バネが回転しアームを刺し戻すことができなくなるのでご注意ください。
T-6.7N 調整用分銅
シャープエッジテスター SET-50 の調整に用いる分銅です。
項目 | 仕様 | 外観イメージ |
---|---|---|
外形寸法 | φ50 × H76 mm | |
重量 | 6.7N +0.02N,−0.00N | |
材質 | SUS304 |